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コラム

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「アジアビジネスのグランド・デザイン13」
  ~ポケモンGO、台湾新総統就任、参院選挙と都知事選、南シナ海領有権
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(櫻梅通信 2016/10号 日台文化協会)

 参院選挙に続いて、東京都では知事選挙が行われた(2016年7月31日)。自民に反旗を翻した女性候補なのか、地方知事経験者であり、総務大臣もそつなくこなした官僚出身者なのか、行き過ぎた都政、金権政治にブレーキをかけようとするマスコミ人に託すのか。二代も続いた前職知事らのカネの問題にどう決別するのか。3候補がリードする形で選挙戦が進んだが、投票率との兼ね合いもあり、結果が出るまでは予想が難しい状況であった。

 都政は「都民の高齢化」「待機児童」「少子化」「貧富の格差」、いよいよ迫りくる「首都直下地震」など様々な問題を抱える。行政は都庁の職員や都議会議員らが担うとはいえ、指導者のリーダーシップが求められる。4年後に、二期目のお墨付きをもらえないと、東京オリンピック直前に、再度、都知事選が行われることになる。

 過密する人口、若者が暮らしやすい、就職しやすい東京。留学生や外国人は、首都東京で、学び働き暮らすのか。あるいは、地方とのバランスをどう整えるのか。アジアの成長拠点として、シンガポールや、北京・上海、台北、ソウルとどう競い合うのか。

 選挙の結果、小池百合子氏が当選し、初の女性都知事が誕生した。SNSを活用したイメージカラー作戦が奏功し、欧米並みに他の有力候補との対立軸を際立たせることでうまく選挙活動を進めた。今後、政治とカネ問題、東京五輪の予算削減などで積極的な情報公開、透明化をどう進めていくのか。また、自民優勢の都議会とどのように対峙、協調していくか。安定的な都政に向けた手腕が期待される。

・南シナ海領有権(ASEAN)

 南シナ海を巡る領有権問題は、長くアジアを緊張させている。

 中国が米国と並ぶ二大国になる中、海洋覇権は中国の生命線であると言える。中国は、南シナ海は歴史的に中国が支配していた海域で、それぞれが現代の国際法や海洋法に則り、主権を主張しても、それは本来、二国間の間に横たわる問題に帰着すべきという主張でいる。

 しかし、90年代以降、改革開放、社会主義市場経済で十分に大国へと成長した中国を相手に、周辺国が「協議」することなどあり得ない。

 フィリピンからの米軍撤退、沖縄の普天間基地の移設を巡る日本国内でのゴタゴタ、日中韓での尖閣諸島や竹島を巡る主張など、アジア海域での各国の思惑が交錯する間隙を縫う形で、中国が南シナ海に人工の島を造成した行為は、自国領土としての管轄権を既成事実に昇華させようという試みに周辺国は見えてしまう。

 2013年にフィリピンが仲裁裁判所に提訴し、中国と争う立場を取ったが、中国は二国間の問題として取り合わず、自国の立場を理解する者を仲裁人に指名するチャンスを放棄したことなども災いし、裁判で大敗を来した。

 フィリピンや周辺国は、中国側に国際法を尊重すべきとして、判決の受け入れを促すコメントを相次いで発表したが、当の中国は、判決は受け入れられないと強調する。さらに、仲裁人は、規定に従い、国際海洋法裁判所の当時所長だった外務省OBの柳井氏が指名したのだが、中国側は日本が介入して、公平性を欠いたと主張するほどである。

 結局、その後にモンゴルで開催されたASEM(アジア欧州会議)では、判決には言及せず、「国際法や国連海洋法条約に基づく紛争解決の重要性に合意」したことが議長声明に盛り込まれ、各国の対中関係を巡る温度差に配慮した形だ。こうしたアジアでの合意形成を筆者は、「アジアンウェイ(アジア的価値観)」と表現しているが、中国という大国を前に、次の価値観を共有しないといけない時期には来ている。

 中国は、人工の埋め立て地に滑走路が出来た状況に、当該地域での悪天候の際の民間の船舶や飛行機の避難場所、補給所との主張を繰り返しているが、国際社会は、今後の中国の動きを注視している。

 果たして、中国が強気の姿勢をさらに強めるのか。その時に米国はどう対処するのか。米国大統領選挙の結果が微妙に絡んでこよう。


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