「美しき地方の時代」と「新陳代謝可能な日本」の創造を目指し・・・

コラム

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「ソチ2014から東京2020への助走」

CEOブログ「e戦略の視点2」
2014/02/23

ソチ2014は、予想された混乱もなく、無事、閉会式へと向かいます。

オリンピックは、この後、開催場所が夏と冬と2年毎に移動しつつ、6年半後に日本にやってきます。

東京オリンピックの誘致過程で、「お・も・て・な・し」という言葉が流行語大賞を取り、いかに「もてなす=歓待する」のかが議論されていることでしょうが、開催に向け、何が大事なのかを暫く考えていきたいと思います。

ここでは、(1)海外からの皆さんを出迎える(2)日常の当たり前の見直し(3)内なる国際化と外なる国際化(4)ネットの威力(5)新しい首都、日本の紹介(6)処方箋 について、論じます。

(*一つ一つの点線が、一回ごとの連載と考えてください。細切れにしたくないので、ブログでは、一気にアップしています。やや長めです)

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(1)海外からの皆さんを出迎える

1964年の夏季オリンピック、東京オリンピックでは、戦後からの復興がテーマでした。その後、札幌(サッポロ)、さらに長野(ナガノ)とつづけ、再び、東京(トウキョウ)にやってきます。

東京は、トウキョウなのか、TOKYOなのか。どの標記がしっくりくるのか。東京2020を経験し、東京という街のビジョン(将来像)を具現化し、グランドデザインを完成させなければなりません。

まずは、日常の喧騒…。このまま維持なのか、成熟した社会としての静寂なのか。

ソチ2014は、首都モスクワから離れ、リゾート地の再開発なども視野に入れています。非日常を演出し、オリンピック後の経済浮揚につなげたい…。

日本は、出来れば、東京2020を通し、日本、東京の良さを見直し、ここで、外国人らが、ビジネスを展開するか、第二の余生を送りたいと思わせたいものです。その時、今の延長線上にある東京や日本は、仕事や生活の場として外国人が「安心」し、喜んで暮らしていく「場」になりうるのでしょうか。

成熟した社会が、高齢者が蠢く社会だと、衰退しかありません。新陳代謝可能な、若い世代、外国人が移住する国づくり。それをプレゼンする「場」としての2020年であることを再確認することが必要です。

外国人がずっと定住する場所ではなく、「働き盛り」の皆さんが、「成長」する場所としての東京を、どう機能させていくのか。一方的に与えるのではなく、共にプラットフォームを創り上げる場となります。

日本は豊かで、清潔だ。安全だということで、外国人が参集する。そのとき、インプットとして、「稼げる」としても、アウトプットとしての「消費=コスト」が高くつくならば、ヒト=労働力は寄ってきません。

高齢社会は、超が付き、現実のものとなり、さらにそのまま放置されています。

首都直下、豪雨、雪害・・・。大規模停電などが起きた場合、どのように対処ができるのか。それらは、外国人からも安全安心と映るのか。

外国からの出場選手、招待客、観光客を迎え、2020を超えて、今抱えている課題の解決と、どうつながるのかが問われます。

ひとまず、東京2020に向け、形から整えるとして、ハードウェアとソフトウェア、さらにネットワークを繋げる作業が不可欠となります。

東京という街のデザイン、ものづくりという発想が求められます。

自らがお客様を出迎え、お客様にも喜んでもらえる。そのお客さまとは誰か。2020年の夏だけなのか。そこを飛び越えていくのか。

自然体、平常心は、2015年(来年)ぐらいから、徐々に計画し、戦略を練り、実践することになるでしょう。

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(2)日常の当たり前の見直し

出迎えるならば、生活と観光ビジネスの動線を分けなければなりません。

東京は、政治と経済の二重同心円ですが、それに加えて、ビジネスと生活が接近しています。

アジアの特徴でもありますが、過密電車で誰もが通勤通学する。

ふと道に迷うと、もうそこには、普段着の私たちがいます。

ハリウッドのSF映画を見ていますと、アジアの描写では、東京と香港、さらに上海が足されたような近未来都市が出現します。

(残念ながら、主人公が、劣っている側の生活臭を感じさせるものです)

欧米の先進国は、馬車から車社会に。それらのネットワークの上に成り立っていますが、日本は、飛脚から自転車、バイク…。そこから自動車の時代へとシフトしました。

都市の成り立ちも、工業と農業の違いなど。

やがて、時代に翻弄され、上から蓋をするように、今の東京、日本があります。

東京オリンピックで、急きょ作った高速道路。街の景観よりも、効率性を優先する時代・・・。

地下鉄を使えば、どこにでも行けますし、格安?ですが、迷路になっているので、知っている街並み(自宅、職場・学校、繁華街)以外だと、お手上げのことも少なくありません。

かつては、横断歩道は確実に止まってくれる安全地帯でしたが、昨今、轢かれそうになったことはありませんか?

木や紙などで創った家、生活の場と言われますが、自転車には優しくない交通体系。このまま東京2020に突入するのでしょうか。

日常の当たり前。暮らしていくうちに、においや目障りなものは、そのままの姿で、受け入れられます。そうしないと、私たちの五感がそれでは、もたないからです。

「まぁ、どこの国でもこんなもの」とするのでしょうなのか。非日常的な「夢」を与え、「共有」する場へと変身させることが出来るのか。

ディズニーのおもてなしは、参考に値するかもしれません。ただし、人工的な街並みは、隣国のように情けが通じず、無味乾燥なものに。

何を残し、どこを新しくするのか。伝統と文化、未来とハイテクの重なりあう日本、東京2020へ…。

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(3)内なる国際化と外なる国際化

家と家の間隔が狭く、薄い壁一枚隔てた長屋。小さいこじんまりしたマンション。オートロックがないと、外から入ってこられます。

下町など、鍵をかけないご家庭も。

そうした普段着が東京でもまだまだ見られます。あと、6年、そんなに急激な変化がないなか、どう海外の皆さんと接するのか。

2020年、国際化が進んだ日本ですが、それは、「外なる国際化」であり、「内なる国際化」ではないように感じます。

「外なる国際化」。ふらりと下駄ばき、サンダルで、海外に気楽に出かけられる。パスポートは、ビザを必要としない国が多く、ボーダーレスです。

一方の「内なる国際化」。日本に入ってくる外国人には多くの制限がありました。変な外人、英語が出来ないと回避する行動は徐々に無くなっていますが、まだまだ苦手意識が強い…。

思うように増えない海外観光客と留学生に、政府はハードルを下げ、一大キャンペーン中ですが、それとは別に、違うテンションのオリンピック観光客が訪れます。

オリンピックは、2020年ですが、そこをめざし、様々なビジネスが検討され、事前視察が行われるでしょう。

オリンピックの準備のためのビジネス、オリンピック期間中のビジネス、それらを越えて、2020年以降の日本を拠点としたビジネス。

ほんの一瞬のために、多くの不都合を美しい布で被せておくのではなく、徹底的に掃除して、手料理を工夫し、パーティー好きになるチャンスを活かせるか。

2020年の夏に、2ヶ月だけ消耗するのは、もったいないと感じます。

オリンピックイヤーは、2019年にはやってきて、2021年まで余韻が続きます。それらをどう定着させ、2035年を目指せるのか、知恵の出しどころとなります。

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(4)ネットの威力

ソチ2014を見ていて、前回のロンドンと圧倒的に違うのは、文化や風習、あるいは各種規制(LGBT含む)などを揶揄するコンテンツが多いことです。

海外メディアは、署名記事、すなわち各記者のつぶやきなども日常的に、世界に向け発信しているということです。

ロンドン2012ではそれほど気になりませんでしたが、この2〜3年で、世界のフラット化(ネットの増幅、拡散)は凄まじいものになりました。

NYやロンドン、パリ、ローマ、ミラノなどは、世界の主要都市として、文化などがフラット化し、同じ目線になります。

東京も広い意味では、それら先進都市と肩を並べ、リードしていますが、一方で、いくつかの揉め事?(領有権問題、捕鯨調査、イルカ漁)を抱えています。

多くのツッコミに、どうかわしていくか。

もう一つは、ビジュアルです。写真の威力、動画の破壊力は凄まじく、ソチ2014でも、ツイッターなどのTL(タイムライン、時系列コンテンツ)には、海外メディアが多くの写真を掲載していました。

個々が動き、それらを本部(本社)が吸い上げる。分散しつつ、集中できる。

そのためには、英語による発信も不可欠です。

平昌2018のサイトでは、既に、韓国語と英語が併記で呟かれています。

リオ2016には、ポルトガル語版と英語版の二つが存在します。

東京2020は、どのような戦略を取るのか。いずれにせよ、英語での発信が欠かせません。

これらは、企業や組織、個人にも言えることです。

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(5)新しい首都、日本の紹介

空気が美味しい、水が美味しい、新しい生活への提案…。

日本、東京をチョイスしてもらう。その場合の、ライバルは何処でしょうか?これまでは圧倒的にアジアの拠点だった日本、東京が、失ったポジションとは。それらをどう奪い返すのか。或いは、作り直すのか。

パラダイムシフト(価値観の転換)。

東京都知事選は、本来、価値観がどうあるべきかでの争いだったはずですが、究極の、短絡的な、分かりりやすいというここで、「脱原発」が掲げられました。

現役世代(35~55)は、2035年(今から21年後)に自らが年寄りになった時を考え、今のお年寄りがより快適に過ごすにはどうすべきかに集中すべきでしょう。

今の若手(15~35)は、自らが現役世代になった時に、ビジネスがしやすい、労働力不足を解消するような施策は何か。ロボットや外国人の利活用のための規制緩和をこの歳、考える必要があります。

その提案をし、2020年に実施し、呼び水にしないと間に合いません。

物事を実施するには、「のりしろ」(十分な準備、インフラの整備、ヒト・モノ・カネの調達、そのための大義名分)が不可欠です。

さらに、成果を得るには、「のびしろ」(当初は小さく、注目を浴びなかったが、やがて、共感し、多くのパワーを巻き込み、成長する)ことが期待されます。この期待(リターン)に対し、投資(リスクテーク)が行われます。

ライバルは誰か。相手と自分のイノベーションのジレンマ(快適な現状から脱するための手間暇になかなか腰を挙げられない、これまでの投資を回収するまで、損切りできない)は何か。どの一手を打つべきか。その打つタイミングはいつか。誰と組むと、効果的な一手となるのか。

騒がない。落ち着いた。若者がイキイキ。年よりがのびのび。新しいものが生み出され、近未来に同じような体験をしたい。

そして、東京は住むところなのか、通うところなのか。未来永劫なのか、一時期なのか。

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(6)処方箋

幾つか気が付いたことを添付します。

・滞在コスト

不平不満が出るとすると、滞在コスト、移動コストかもしれません。

ホテルのキャパシティを、地価の高い東京でこれ以上負担することはできません。

東京という名前で、どこまでを首都圏としてアピールするかが一つの焦点です。

知事の連携で、過度の集中を回避することが求められます

・既存概念の拡張

宿泊料金を低く設定する。過剰な事前予約を回避する。チップの概念がないことを説明する。

新しいホテルの概念を提示する。列車や船舶などの利活用。

過剰投資と思わずに、首都直下地震などで、住居を失った場合の代替案をテストするケースだと考えることは効果的です。

・可視化、図案化

英語表記が焦点になるでしょうが、ローマ字なのか英語表記なのかもややこしいところです。

地下鉄の路線図は全てを表そうとしますが、目的地、乗換え、どちら方向へ。などがないと不便です。

ほんの一駅、次の駅だとしても、その大きな乗降が多い駅は、何のために、誰がどちらに向かうのかを示すと解りやすくありがたいものです。

・色々な仕掛けで楽しませる

地下鉄で言えば、問い合わせのとき、チケット売り場の自販機の扉が開いて、駅員が半身を乗り出し、説明する写真が世界を驚かせました。

そうした「忍者」的な仕掛け、オリンピック以外での生活の演出は、効果的かもしれません。

・万が一に備える

オリンピックを無事開催する上で、首都直下地震や集中豪雨にどう対処するか。これだけは、自然災害との格闘なので、あてになりません。

いざというとき、全天候型の体育館での代替。あるいは、北海道や九州などでの開催含め、様々なケースを想定することが可能です。

コストが気になるところですが、自然災害での東京首都圏のバックアップを検討することは、日常で先送りしてきたことですので、20年越しの代替案作成は不可欠と言えましょう。

(国際戦略デザイン研究所 CEO 林志行)




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