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コラム

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「東日本大震災(1) リスクマネジメントとツイッター力」(1/2)

(「現代リスクの基礎知識」 nikkeiBPnet 2011/03/29)

 2011年3月11日、14時46分に発生した東日本大震災。

 冒頭、犠牲になられた方のご冥福をお祈りするとともに、震災から2週間以上が経過し、被災地域ならびに被災者の方々が少しでも安らげる体制をいかに作るか、さらに復旧復興に向け、筆者自身もネットワークを駆使し、知恵を絞り、貢献できるよう行動したいと考えている。

 1000年に一度といわれるマグニチュード9.0の地震と、10メートルを超える津波。その津波に襲われ、福島第一原発では1~6号機が損傷した。地震直後に、発電所は稼働を停止した。冷却装置などが壊れ、機能不全となったため、事態はいまだ予断を許さない状況にある。

 2週間という区切りに、久しぶりにテレビカメラの前に立った菅総理とその言葉には覇気が感じられなかった。

 原発の修復状況、放射性物質が野菜や土壌、さらには水道水からも検出されるなど不安が拡がり、乳児への影響が懸念される。

 あまりにも多くのことがのしかかるが、パニックを起こさず、いつものように整然と国難を受け入れ、そこから立ち上がろうとしている日本人…。そう、報じられている。でも、その批評も、今回だけは、何かしっくりこない。我慢したつけが回ってきているのではないかという感覚だ。

 1000年の揺れから、単に元に戻るのではなく、新しい1000年をどう作っていくのか。新たな道を模索し、これまでの二律背反的な対立ではない、第三の道を歩きだすきっかけとしなければならない。

 私たちはどこに向かおうとしているのか。政府、企業、マスコミ、そして個人は、この地震+津波+原発事故をどう考え、どう動けばよいのか。少し整理を試みた。第一弾では、リスクマネジメントの観点からとツイッターが災害で果たす役割、その留意点に言及した。

 いつものように、事件事故の発生当時の第一報、分析などは、ツイッタ-「linsbar」等での日々の活動を参照願いたい。

●リスクマネジメント

 東日本の太平洋岸を中心に甚大な被害をもたらした今回の震災だが、首都圏の企業活動や個人生活にも影響を及ぼしている。

 企業や地域の多くがリスクマネジメント体制を整備していたと思われるが、同じような災害に直面した時に、それらが有効に機能するのか、想定外の事象への対策の必要性の有無など、自社内や自治体での検証がこれから進められることになろう。

 ここでは、リスクマネジメントの立場からいくつかのポイントについて考えてみたい。

・緊急地震速報

 震災当日、筆者は、早朝にラジオ番組のニュース解説などに出演したのち、大学の研究室へ出かけるまでにまだ時間があったので、原稿書きなど集中するときに使うオフィスにいた。

 仕事をするときのいつもの癖で、テレビをつけたまま、ときどきネット(ツイッター)に書き込みをしていた。そこに、緊急地震速報である。

 緊急地震速報は、震源に近い地震計でとらえた観測データをもとに、震度4以上の地震がこの後発生するであろうときに、警告してくれる仕組みだ。

 しばらくして、揺れ始めたが、いつもに比べて大きいなと思った次の瞬間、街全体がグラグラするような強い揺れを感じた。

 一瞬、首都直下地震が頭をよぎったが、冷静にオフィスのドアを開け、ドアに手をかけながら、様子をうかがう。隣近所でパニックに震えている人には声をかけ、落ち着くようにアドバイスした(落下物への留意など)。

 揺れが収まり、震源地を確認するため室内に戻ると、震度7、阪神淡路大震災の時と同じ数字がテレビ画面に表示されていた。震源地や深さにもよるが、大きな被害が出ていると判断した。

 震災以降、余震が続く中、緊急地震速報も頻出している。「ピロン、ピローン」という警告音。夜中にテレビやラジオをつけたまま寝ている人も少なくないだろうが、警告音に続く「緊急地震速報です」という落ち着いたナレーションは、かえって緊張感を増す。

 大人でも敏感になっているのだから、小さな子供や高齢者などのストレスが心配になる。

 ただし、余震などを考えると、空振りなどの弊害を上回り、必要不可欠なものである。速報はテレビ以外にも、携帯メールや自動車運転中のラジオなどから提供されるものがある。それぞれに、警報を発するまでの時間には差があるので、運用法に留意しながら、大規模地震に備えることになる。

 詳しくは、07年10月の運用開始時に書いた「緊急地震速報の運用と誤報パニックの回避」(2007/10/02)を参照のこと。

・BCP(事業継続計画)

 BCP(Business Continuity Plan)とは、企業が災害や事故によって被災しても、重要業務が中断しない、あるいは短期間の中断で再開するために、平時からどのように行動すべきか、いかに事業を継続し、災害前の水準まで復旧し、さらに復興するかの手順をまとめたものである。直下型地震や新型インフルエンザの発生など様々なリスクを想定しており、大企業の6割程度が策定済みあるいは策定中である(内閣府平成21年11月調査)。

 震災当日に会社に備えてあるヘルメットをかぶり、公園などに一時避難し、その後、帰路を急ぐ会社員を見た人も少なくないだろうが、BCPに従い、行動している。

 これらの判断は、企業においては総務部やリスク対策室などが行い。リスク事象の発生した時刻(含む季節)、発生した場所、当該地域の被害状況、鉄道などの運行状況などにより決定する。

 実際には、従業員の安否確認、時間帯によっては就業時間を繰り上げての帰宅、翌日からの自宅待機などがあろう。

 リスク発生直後の初動期の対応で難しいのは、すべてのスタッフが社内にいるとは限らず、銀行や百貨店、鉄道などのように業種によっては、顧客を含めた対応が求められる点だ。顧客を施設内にとどめるか、施設外に出して、二次被害を回避するかなどを考える必要がある。

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